「アメリカの2月のイベント」と言うと、St. Valentine's Day(バレンタインデー)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
実は2月はバレンタインの他に、Black History Month(アフリカ系アメリカ人歴史月間)があります。
今回はBlack History Monthにちなんで、アフリカ系アメリカ人の歴史を学べる映画を3つ紹介します!
- アメリカならではの文化や行事を知りたい方
- 英語圏の国の文化的背景を知りたい方
- 英語を勉強中の方
におすすめの内容です。
アメリカの2月のイベント:Black History Month(アフリカ系アメリカ人歴史月間)
【英語中級者向け】この一年を振り返ろう!2020年の時事英語の記事で、Black Lives Matterを紹介しました。
この運動が記憶に新しい方も多くいらっしゃると思います。
Black Lives Matterの運動は、アフリカ系アメリカ人の歴史の一部である、奴隷制度や公民権運動から、現在にまでずっと繋がっています。
特にアフリカ系アメリカ人の歴史は、異文化の人とコミュニケーションを取る上で知っておきたい文化的背景です。
文化的背景への理解は小学校の学習指導要領にも載るほど重要で、英語を勉強中の方は知っておいて損はありません!
Black History Month(アフリカ系アメリカ人歴史月間)とは?
アフリカ系アメリカ人歴史月間とは、アフリカ系アメリカ人の偉人の貢献を称えるためのお祝いです。
元々1週間のお祝いでしたが、今ではアメリカでは毎年2月、イギリスでは10月の1ヶ月間お祝いされています。
そもそもはアメリカの学校の歴史の授業において、アフリカ系アメリカ人の貢献を奨励するために作られました。
なぜ2月にお祝いするの?
奴隷制度廃止における重要人物2名の誕生月であることから、2月にお祝いされるようになったと言われています。
その2名はアブラハム・リンカーンとフレドリック・ダグラスです。
リンカーンは奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)を出したことで有名ですね。
ダグラスは元奴隷であり、奴隷制度廃止の運動家でした。
アフリカ系アメリカ人月間はどうやってお祝いするの?
「お祝い」と言うとパーティーがイメージされがちですが、一般的にアフリカ系アメリカ人歴史月間のパーティーはしません。
本や映画、博物館などを通して 歴史を知ること自体がお祝いになります。
本を読む
アフリカ系アメリカ人の歴史に関する本や、アフリカ系アメリカ人の作家さんの本を読んでもOKです。
私が通ったアメリカの小学校では、図書館にアフリカ系アメリカ人の歴史をテーマに本が置かれていたり、先生に歴史の絵本を読んでもらったりすることもありました。
映画を観る
英語や本を読むのが苦手であれば、映画もおすすめです。
この記事でも、アフリカ系アメリカ人に関連した映画を3作品ピックアップしています。
気になる方は読み進めてくださいね!
文化を知る
12月にはアフリカ系アメリカ人のお祝いごとKwanzaaがあります。
詳しくはアメリカのクリスマス文化の記事にまとめています。
博物館へ行く / バーチャルツアーで博物館へ行く
アメリカにはアフリカ系アメリカ人の国立歴史博物館があるので、直接足を運んでみてはいかがでしょうか?
また、日本にいてもバーチャルな展示会なら気軽に参加できます!
スミソニアン博物館がバーチャルツアーを開催しているので、興味のある方は見てみてくださいね。
英語で書かれているため、リーディングの練習にもなります。
アフリカ系アメリカ人の歴史を学べる映画3選
今回はBlack History Monthに因んで、アフリカ系アメリカ人の歴史を学べる映画3つをご紹介します。
歴史は苦手でも楽しめるものをピックアップしました。
時事問題などは取引先との商談でも触れられることがあるので、そういったときのための備えになります!
ここで紹介する映画はどれも有名なので、会話のネタとしても使えること間違いなしです。
Hairspray
アフリカ系アメリカ人の歴史を学べる映画の中で、笑って楽しめるものならHairspray(邦題:ヘアスプレー)がおすすめです。
Hairsprayは、1960年代のアメリカ・メリーランド州のボルチモアを舞台としたミュージカル映画です。
元々1988年に映画になり、その後2002年にはブロードウェイミュージカルにもなりました。
日本でも渡辺直美主演のミュージカルで話題になりましたね!
こちらで紹介するのは、2007年にミュージカルを映画にして公開されたものです。
嬉しいことに、2021年2月時点では、Amazon Primeの会員なら追加料金なしで見られるようになっています!
映画ヘアスプレーのあらすじ
ぽっちゃりとした女の子 Tracy が、大好きな人気番組The Corny Collins Showのオーディションに出ることに!
Tracyのイケメンの彼との恋や親友の異人種間の恋など、コメディータッチで描かれています。
いつも明るくポジティブな主人公を見ると、「こんな風に人生を楽しみたいな!」と思えること間違いなしです。
この映画の一番の魅力は、楽しいだけではなく、肌の色や体型による差別について考えさせられるところです。
当時のアメリカでは肌の色による差別があり、このストーリーの登場人物達も苦しめられます。
そういった問題にどう立ち向かうのか、主人公になりきって観るとよりストーリーにのめり込めます!
1960年代のアメリカ
1960年代といえば、キング牧師の「私には夢がある」のスピーチが有名ですね。
キング牧師のスピーチには、当時のアメリカの様子が書かれています。
お店のサインなどに「白人のみ」と書かれていて、肌の色で差別されていたことが分かります。
映画ヘアスプレーの舞台である1960年代は、リンカーンの奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)から約100年経っていました。
それでもなお、社会的な不平等がまだまだ残っていた様子が映画から伺えます。
例えば、黒人のダンサーがCorny Collins Showのテレビ番組に出られるのは月に一度のみでした。
こういった歴史的背景を知ると、主人公やその他の登場人物の葛藤が理解しやすくなります。
ヘアスプレーはアフリカ系アメリカ人の歴史を知るのにおすすめの作品で、英語の授業でも使いやすいかと思います。
大まかな公民権運動の様子や、当時はどんな社会でどんな扱いを受けていたのかを知ることができます。
アフリカ系アメリカ人の歴史を詳しくは知らない方にこそ、観てもらいたい一作です。
12 Years a Slave (邦題:それでも夜は明ける)
アメリカのひどい奴隷制度の現実を学びたい方におすすめなのが、12 Years a Slave(邦題:それでも夜は明ける)です。
歴史の授業だけでは分からない、当事者の痛みや社会的構造を見て理解することができる、貴重な映画です。
映画Twelve Years a Slaveのあらすじ
アメリカ北部で愛する家族と暮らしていた主人公 Solomonは、1841年のある日、南部へと誘拐されてしまいます。
奴隷として売られ、12年もの長く辛い毎日を強いられてしまうという、ノンフィクション映画です。
主人から受けるひどい暴力と家族に会いたくても会えない辛さ、そして希望が絶望に変わる、心を引き裂くような出来事。
この映画にはこれらがすべて描かれています。
アフリカ系アメリカ人が受けてきたひどい扱いを学んでいた私でも、夜眠れなくなるくらい「本当の自由とは何か」、「なぜ彼らがあんな扱いを受けねばならなかったのか」を考えさせられる作品でした。
この映画はR指定のため、お子様や暴力シーンなどが苦手な方には不向きですが、ありのままの歴史を学べる貴重な映画だと思います。
原作は映画と同名の本で、Solomon Northup氏が自身の経験を綴ったものです。
こちらはKindleでも読めるそうで、日本語版も英語版も存在します。
それぞれ読み比べるのも面白いですし、洋書や少し古い英語に挑戦したい方はこちらの原作も読んでみてください。
Northup氏は奴隷制度廃止の運動家でもあり、The Underground Railroad(地下鉄道)にも協力していた人物です。
The Underground Railroadについては、【英語中級者向け】この一年を振り返ろう!2020年の時事英語を見てみてくださいね。
1860年代のアメリカ
この時代のアメリカ南部ではタバコや綿花生産の産業が多く、人手を必要としていました。
できるだけ人件費を安くしたい綿花やタバコ農家は、奴隷を買って働かせていました。
Northup氏もプランテーションで労働を強いられていました。
対して北部では機械に頼った産業がメインで、奴隷の必要性はあまりなかったのです。
こういった南北における奴隷制度への姿勢の違いもあり、1861年から1865年まで南北戦争が続きました。
To Kill a Mockingbird(邦題:アラバマ物語)
こちらも原作は映画と同名の本で、ピューリッツァー賞も受賞しています。
なんと40言語以上にも翻訳されており、世界規模での売上で4000万冊以上売れている名作です。
アメリカの学校でも授業で読むほど有名な本で、私も高校の英語の授業で読みました!
日本語訳もあるので、英語と日本語の両方を読んでみるのもおすすめです。
To Kill a Mockingbirdのあらすじ
1930年代のアメリカ・アラバマ州における、人種差別をテーマにした主人公の成長の物語です。
主人公は女の子のScoutで、彼女の目線から物語は語られます。
父のAtticus Finchは弁護士で、裁判でアフリカ系アメリカ人の被告の弁護を担当します。
実はこの被告は、無実の罪で問われていました。
当時のアメリカ南部では、人種差別がまだまだ残っており、この裁判もかなり不利な状況でした。
このことがきっかけで、主人公の家族は嫌がらせを受けたり、命が危ない状況になってしまいます。
それでも父が正義を貫こうとする姿に、主人公やその兄は心を動かされ成長していきます。
まとめ
日本にはまだ馴染みがありませんが、英語を勉強しているならアフリカ系アメリカ人の歴史を知っておくとベストです。
2020年のBlack Lives Matterの運動は、奴隷制度や公民権運動から、現在にまでずっと繋がっています。
背景を知ることで、言葉の使い方などに注意したり、相手の考えを理解しようとしたりすることができますよね。
相手の視点に近づくことこそが、言語と文化的背景への理解につながると考えます。
今年のアフリカ系アメリカ人歴史月間は、ぜひ本や映画などを通してお祝いしましょう!
この他にもぴか英語では、アメリカ文化や楽しい授業アイディアなども紹介しています!
おすすめ記事:
楽しい授業アイディアにおすすめ:英語で謎解きゲーム! (ぴか英語No.1アクセス数記事)
【中学校の英語の授業に】英語力を鍛える!スピーチの題材31選 (ぴか英語No.2アクセス数記事)
ユニークなアメリカ文化:3月14日はパイデー(Pi Day)!(アメリカ文化紹介)
Thank you for reading!
See you soon!